<歴史が動いてヒストリ庵~エンシューの衆ら~3> 第六章【エンシュー今川焼】vol.13

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『棄(すて)とやら、
我の名の太郎をくれてやる。それに諱に”家”をくれてやるから、そちは今日から
太郎家永と称せ。それにのぉ、このエンシューは要じゃ。されどまだまだ荒れ果てとる。
沿岸を世話してくれんか?』
「御大将、、、奇襲に向かった家臣が戻ってまいりました。」
明け方眠っていた横地四郎兵衛秀長(よこちひでなが)のもとに報告が来る。  
(ワシは夢を見ておったのか。家永とな。。。太郎家永様と言えば初代様。ワシは初代様の
夢を見ておったというのか。)
秀長はこの地の始まりの夢にとても不思議な感覚を覚えた。
そして夢であるにも関わらず、細部までもが鮮明に彩られていた事に驚いた。
(これは何かの暗示かもしれぬ。)そう感じざるをえない秀長であった。
「うむ、すぐ行く。」
そう言うと彼は身が引き締まった風で軍議の場に赴いた。
「よおぉ戻った。して状況は?」
「はっ、我ら奇襲隊、今川勢への奇襲に成功。数百の矢にてあちら側は多大な損害が出た事でしょう。
されど、人の勢いはすざまじく、後方の兵の押っ取り刀な攻勢に押されました。
こちらも死者、負傷者が出る状況に、やむなく退去せざるをえませんでした。面目もございませぬ。」
「いや、そちらの働き、この横地四郎兵衛秀長(よこちひでなが)感服の極み。
皆、此度の戦の気力となろうぞ。」
「おぉー!!!!」
「されど、ここからが本気じゃ。奴らも鬼の形相で総攻撃をかけてくるじゃろうて。
奇襲はもう使えぬが、各門を守りてありったけの弓と投石をやつらに浴びせようぞ。」
「おぉー!!!!」
横地勢は一丸となっていた。死を覚悟しているというより、逆に生気に満ちた目を皆していた。
一方今川勢では。 
「口惜しや!口惜しや!前衛は何をやっておったのだ!?なぜ敵の存在がわからないのじゃ!」
今川 義忠(いまがわ よしただ)さらに発狂していた。
今川ここにありと知らしめるために完全勝利を欲していたのであろうか。
失態した家臣にあらゆる罵倒を浴びせ続けていた。
確かに奇襲によってかなりの死者、負傷者が出たことは紛れもない事実ではあるのだが。。。
これによって義忠は、懸川に駐屯させていた後詰の朝比奈 泰煕(あさひな やすひろ)を呼びよせ
戦力の補てんをするほかなかった。
「許すまじ。許すまじぞ。あの横地の烏滸者(おこもの)が。」
今川 義忠(いまがわ よしただ)さらに狂気に満ち、人の子とは思えないほどになっていた。



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