2017年09月29日09:04
<歴史が動いてヒストリ庵~エンシューの衆ら~3> 第五章vol.9【エンシュート!スルガ】≫
カテゴリー │歴史が動いてヒストリ庵
大友親世と島津氏久、少弐冬資。後に彼らを九州3人衆と呼んだ。
無名な一族から守護を歴任するまでに大きくなった3つの一族は九州でも抜きんでている。
ただ、その家風というか個人の性格は多種多様である。
大友親世は大きな心持ちでゆったりと鎮座し安心感を与る。
島津氏久は熱血というか義に熱く一変曇りもないような眼差しだ。
少弐冬資は疑り深い正確であり、石橋を叩いて渡るタイプである。
その堅実さが今の繁栄に繋がっているのかもしれないが、その家風は傍からみれば裏切りの歴史に彩られていた。
現に尊氏が存命時代は北朝方つまり幕府方についていたが、尊氏と弟の 直義が対立し、直義が九州で旗揚げした時は
尊氏を見限り直義側についている。その流れで少弐家は南朝側につくようになり、懐良親王・菊池家側と共闘していたが
ここに来てまた南朝方と敵対しているのである。
戦乱の世において、さらに言えば室町時代と枠組みされたこの時代は特に、
裏切りは常套手段であり少弐が特殊な訳ではない。
が、そういったことで一度は足利幕府に弓を引いたという後ろめたさもあり
処罰を受けるのではないかと疑心暗鬼に陥っているのである。
「少弐殿、今川殿はお主が考えているよりも寛大な人ぞ。」
大友親世が彼を諭す。
「う~む。」
少弐冬資は腕組みをし考えている。
「今時代は大きな転換期を迎えておる。近い将来この日の本は鎌倉殿(足利家)の下、政を統べていくだろう。
お主がどちらにつくつかぬは自由なれども、帰参は今が時をおいてないと心得よ。」
島津氏久は熱く彼に迫る。
「う~む。う~む。」
少弐冬資は眉間にしわを寄せ考えている。
こういった一方通行な説得の情景はかなりの時を費やし、島津氏久が頭を下げてお願いをするまで続いた。
「わしは今川殿にお主の説得を命じられてここにおる。それが何も進展が無くと帰れば生き恥さらしに他ならぬ。
お主が承諾せねば、わしはここで腹を切る!」
ほぼ脅迫である。
それでもその気迫を見ておののいた少弐冬資は水島出向を決断した。
3日後、今川了俊の前にようやく少弐冬資が現れた。
「あぁ、、、先の大宰府の陥落、、、誠に采配、、おみぃーごと、であらせられ、、、。」
了俊の前に参じた少弐冬資は何か言われるのではないかと脂汗が止めどない。
そんな思いをよそに、了俊は少弐冬資に喜びの声をかけた。
「少弐殿、よく来てくださった。少弐殿、大友殿、島津殿、このお三方が来てくれたおかげで九州平定もなりましょうぞ。
本日は我が宿舎にて宴をご用意いたしましたので是非に。」
拍子抜けした少弐冬資、尻子玉を抜かれたように腰が抜けた。
今までの疑念が自分の取り越し苦労だと反省しつつ、今川との親睦を深めるためにも夜宴の参加を受諾した。
その夜の事。
少弐冬資の説得を終え、宿舎に戻っていた島津氏久。
重臣とともに酒をあおる。
「あやつを説き伏せるのに苦労がいった。まぁこれで丸く治まるであろう。」
「これも御屋形様のご尽力なれば。今宵は祝い酒かと。」
「そうじゃの、ははははは。」
すると陽気な祝い酒をあおる氏久のもとに、1人の家臣が慌てた様子で飛び込んできた。
「なにごとぞっ!」
「はぁはぁ。風雲急にございます。。。。
今晩、、、今川様邸少弐様との宴の際、はぁはぁ。少弐様闇討ちにあられ絶命。」
あろうこともない状況に、氏久は持っていた酒の椀を落とした。
床には濁酒が広がるが、それを気にする前に言葉がでる。
「何者ぞ!?」
「定かではございませんが、今川中務省(仲秋)殿とか!」
「確か弟の方ではなかったか、あ奴ら、計りおったか!?何と邪慳な一族よ。問いただしてやるわ!」
何がどうなったのか、謎の中に蠢く黒い霧に皆翻弄されるかの如くであった。

無名な一族から守護を歴任するまでに大きくなった3つの一族は九州でも抜きんでている。
ただ、その家風というか個人の性格は多種多様である。
大友親世は大きな心持ちでゆったりと鎮座し安心感を与る。
島津氏久は熱血というか義に熱く一変曇りもないような眼差しだ。
少弐冬資は疑り深い正確であり、石橋を叩いて渡るタイプである。
その堅実さが今の繁栄に繋がっているのかもしれないが、その家風は傍からみれば裏切りの歴史に彩られていた。
現に尊氏が存命時代は北朝方つまり幕府方についていたが、尊氏と弟の 直義が対立し、直義が九州で旗揚げした時は
尊氏を見限り直義側についている。その流れで少弐家は南朝側につくようになり、懐良親王・菊池家側と共闘していたが
ここに来てまた南朝方と敵対しているのである。
戦乱の世において、さらに言えば室町時代と枠組みされたこの時代は特に、
裏切りは常套手段であり少弐が特殊な訳ではない。
が、そういったことで一度は足利幕府に弓を引いたという後ろめたさもあり
処罰を受けるのではないかと疑心暗鬼に陥っているのである。
「少弐殿、今川殿はお主が考えているよりも寛大な人ぞ。」
大友親世が彼を諭す。
「う~む。」
少弐冬資は腕組みをし考えている。
「今時代は大きな転換期を迎えておる。近い将来この日の本は鎌倉殿(足利家)の下、政を統べていくだろう。
お主がどちらにつくつかぬは自由なれども、帰参は今が時をおいてないと心得よ。」
島津氏久は熱く彼に迫る。
「う~む。う~む。」
少弐冬資は眉間にしわを寄せ考えている。
こういった一方通行な説得の情景はかなりの時を費やし、島津氏久が頭を下げてお願いをするまで続いた。
「わしは今川殿にお主の説得を命じられてここにおる。それが何も進展が無くと帰れば生き恥さらしに他ならぬ。
お主が承諾せねば、わしはここで腹を切る!」
ほぼ脅迫である。
それでもその気迫を見ておののいた少弐冬資は水島出向を決断した。
3日後、今川了俊の前にようやく少弐冬資が現れた。
「あぁ、、、先の大宰府の陥落、、、誠に采配、、おみぃーごと、であらせられ、、、。」
了俊の前に参じた少弐冬資は何か言われるのではないかと脂汗が止めどない。
そんな思いをよそに、了俊は少弐冬資に喜びの声をかけた。
「少弐殿、よく来てくださった。少弐殿、大友殿、島津殿、このお三方が来てくれたおかげで九州平定もなりましょうぞ。
本日は我が宿舎にて宴をご用意いたしましたので是非に。」
拍子抜けした少弐冬資、尻子玉を抜かれたように腰が抜けた。
今までの疑念が自分の取り越し苦労だと反省しつつ、今川との親睦を深めるためにも夜宴の参加を受諾した。
その夜の事。
少弐冬資の説得を終え、宿舎に戻っていた島津氏久。
重臣とともに酒をあおる。
「あやつを説き伏せるのに苦労がいった。まぁこれで丸く治まるであろう。」
「これも御屋形様のご尽力なれば。今宵は祝い酒かと。」
「そうじゃの、ははははは。」
すると陽気な祝い酒をあおる氏久のもとに、1人の家臣が慌てた様子で飛び込んできた。
「なにごとぞっ!」
「はぁはぁ。風雲急にございます。。。。
今晩、、、今川様邸少弐様との宴の際、はぁはぁ。少弐様闇討ちにあられ絶命。」
あろうこともない状況に、氏久は持っていた酒の椀を落とした。
床には濁酒が広がるが、それを気にする前に言葉がでる。
「何者ぞ!?」
「定かではございませんが、今川中務省(仲秋)殿とか!」
「確か弟の方ではなかったか、あ奴ら、計りおったか!?何と邪慳な一族よ。問いただしてやるわ!」
何がどうなったのか、謎の中に蠢く黒い霧に皆翻弄されるかの如くであった。
