<歴史が動いてヒストリ庵~エンシューの衆ら~3> 第五章vol.2【エンシュート!スルガ】

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「・・・・・あぁ、かなわなんだか。」  
「父上!」
「この堀越の祖、範国様にあやかり我が名を範将としたが、ついに叶わなんだ。」
「父上!死すときではございまぬ。気を確かに!」
「六郎よ。もしもの時は宗家(そうけ)にお力を借りよ。」 
今まさに死す間際なこの男、堀越治部少輔範将(ほりこし じぶしょうのすけ のりくに)という。
元々は今川家である。
駿河今川の庶家であり遠江今川と言われていたのだが宗家(そうけ)の恩賞「天下一苗字」の煽りをうけ
居地堀越(袋井地方)の地名に姓を改めていた。
その範将が寂し気な眼差しでぼそっとつぶやく。
「我がエンシュー今川、堀越家、、、どこでどう、、、道を間違えたのかのぉ。。。
エンシューとスルガはイマガワの今が我が春、、、、か。。。」
「父上ぇーーーーーー!」
~話は100年ほどさかのぼる。~
「上総介様!ついに念願叶いましたな。」
「ん?松井か、、、うむ。想いの通り遠江の守護に還り咲いた。ここから我が今川は足利一門の筆頭として世を統べていくのだ。」
「その願い、微力なりとも私めがお支え致します。」
「ありがたき事。、、、宗助よ。そなたは我が今川への忠義著しい、事が成ったらこのエンシューを任せたいと思っておる。」
「滅相もなきお言葉。」
エンシューのほぼすべてを見渡せる御岳の山にて、今川範国と松井宗助の二人が今後の展望を語り合っていた。
時代はすでに次の舞台に移行しており将軍下での権力争いが激化、足利一門は発言力を高めんと役職とりに躍起になっていた。
それをいち早く察知していた一人が今川範国という事である。
彼はエンシュートスルガを足掛かりに京と鎌倉の橋渡し役をしつつ、発言力を高め思い通りに武家集団を操り統べろうと企んでいた。
そして隣にいる松井宗助という者、京都山城の出という話であるがその後各地に点在しその一つの家がこの松井家である。
遠州松井家と称される事になるこの家は、今川の主要家臣になっていき二俣の地としては切っても切り離せない間柄となるが
それはまだ先のお話。
とにかく今は、今川の野望たる花が実を結んだ瞬間であるという事。始まりである。
「エンシュートスルガは今川の今が我が春である!」
御岳の空にこだましたその願いは、濱松のカラっ風に乗って運ばれた。
はたしてその願いは叶うのか否か。
それは歴史の知る所である。
※天下一苗字:
今川 範忠(駿河今川5代目当主)の時代。
幕府に謀反を企てた輩を鎮圧した功により将軍から頂いた、今川姓を名乗ってよいのは宗家(駿河今川)だけというお触れ。
これによりエンシューと他にいた今川家は姓を改める他なくなった。



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