2017年05月26日11:06
<歴史が動いてヒストリ庵~エンシューの衆ら~3> 第四章vol.10【東西南ボクイイね!】≫
カテゴリー │歴史が動いてヒストリ庵
※これはあまりにもフィクションです
※歴史認証はされておらず、あくまで個人の見解です。

三嶽城、400m級の山頂とそれに続く尾根によって形成される。
山の登り手であれば、400mという高さは容易いものであろうが、
それに戦(いくさ)が加われば、山の高さは脅威になる。
急勾配のそれも上から敵が見下ろす最中、数十キロの荷を身にまとい矢と投石をかいくぐり登る。
それに、この時代の山々には木々が少ない。
都やその周辺、主要地区において挙って乱立した神社仏閣と人口増加に伴い木材不足に陥っていたのである。
木々が無い山は肌を露出し雨が降ろうものならば地面は自然の滑り台と化す。
その情景まさに死出の旅路の如く。
こういったことにより、万能と言われる草履の改良が進んでいったのは皮肉な話であるが、それだけ三嶽城は攻略しにくい。
ましてや、あの手練れである。
「帝の意志ここにあり!」
「崩御された後醍醐天皇の意志を御旗とし尊氏配下の朝敵を駆逐しようぞ!敵を一歩もこの山頂へ来させるでないぞ!」
オー!!!
山頂の本曲輪からは下の様子が手に取るように見えた。辺りは敵だらけである。
井伊行直は分かっていた。すでに勝ち目がない事を。
ただここで退いてしまっては、後の南朝に影を落とす事となる。
南朝存続の為にも死んでいった者達の為にも自分自身を奮い立たせ、
なんとしても一矢報いねばと考えていた。それは家臣たちも同じである。
その憎悪にも似た念たるや、三嶽城を覆う見えない壁となって北朝の兵達を阻んでいるかのようだった。
千頭峯城と他の支城攻略とは一変、北朝の歩みが止まる。
「くぅ、井伊め。なかなかやりおる。」
高師冬は物事が進展せぬ歯がゆさに爪を噛む。
北朝方は三嶽城を取り囲みはしたが登れば登るほど道は制限されて行き、結局は一つ一つ曲輪を制して
いかねばならず、大軍という利点は半減された。
それでも倒しても倒しても溢れ出る敵兵、井伊率いる南朝方は武器も尽きていく。
武器が尽きた頃を見計らい、その曲輪を捨て次の曲輪へ後退する。
そんな攻防が2カ月以上も繰り広げられた。
備蓄された食料も少なく、武器も足りない。さすがの南朝方も疲労困憊である。
あと少しで敵方が本曲輪に迫ろうとした時、井伊行直は立ち上がり下知をした。
「この城を捨てるぞ!ここから北より出で山裾を通れば大平に入れる。そこで陣形を建てなおし再起を図ろうぞ。」
黙ってはいたがコクリと兵たちは頷く。目はまだ死んでいないようだ。
その夜、井伊行直は宗良親王と兵達を連れ三嶽城を離れた。
高師冬が朝目覚めると、三嶽を覆っていた殺気が嘘のように晴れているを感じた。
「・・・・・・なにかおかしい。」
師冬が斥候を送ると、すでにそこには誰もいなかった。
「くう、幾度も我を馬鹿にしおって、、、奴らは大平に向かった!全軍本体と合流し大平を包囲せよ!」
こうして三嶽は落ちた。
激戦を物語るように無数の兵士の亡骸が転がり、そこだけ季節が止まったかの様に静けさだけが残る。
戦のあとはいつもこうだ。
ただ熱き意志はおさまらず、大平の地に移された。
※歴史認証はされておらず、あくまで個人の見解です。

三嶽城、400m級の山頂とそれに続く尾根によって形成される。
山の登り手であれば、400mという高さは容易いものであろうが、
それに戦(いくさ)が加われば、山の高さは脅威になる。
急勾配のそれも上から敵が見下ろす最中、数十キロの荷を身にまとい矢と投石をかいくぐり登る。
それに、この時代の山々には木々が少ない。
都やその周辺、主要地区において挙って乱立した神社仏閣と人口増加に伴い木材不足に陥っていたのである。
木々が無い山は肌を露出し雨が降ろうものならば地面は自然の滑り台と化す。
その情景まさに死出の旅路の如く。
こういったことにより、万能と言われる草履の改良が進んでいったのは皮肉な話であるが、それだけ三嶽城は攻略しにくい。
ましてや、あの手練れである。
「帝の意志ここにあり!」
「崩御された後醍醐天皇の意志を御旗とし尊氏配下の朝敵を駆逐しようぞ!敵を一歩もこの山頂へ来させるでないぞ!」
オー!!!
山頂の本曲輪からは下の様子が手に取るように見えた。辺りは敵だらけである。
井伊行直は分かっていた。すでに勝ち目がない事を。
ただここで退いてしまっては、後の南朝に影を落とす事となる。
南朝存続の為にも死んでいった者達の為にも自分自身を奮い立たせ、
なんとしても一矢報いねばと考えていた。それは家臣たちも同じである。
その憎悪にも似た念たるや、三嶽城を覆う見えない壁となって北朝の兵達を阻んでいるかのようだった。
千頭峯城と他の支城攻略とは一変、北朝の歩みが止まる。
「くぅ、井伊め。なかなかやりおる。」
高師冬は物事が進展せぬ歯がゆさに爪を噛む。
北朝方は三嶽城を取り囲みはしたが登れば登るほど道は制限されて行き、結局は一つ一つ曲輪を制して
いかねばならず、大軍という利点は半減された。
それでも倒しても倒しても溢れ出る敵兵、井伊率いる南朝方は武器も尽きていく。
武器が尽きた頃を見計らい、その曲輪を捨て次の曲輪へ後退する。
そんな攻防が2カ月以上も繰り広げられた。
備蓄された食料も少なく、武器も足りない。さすがの南朝方も疲労困憊である。
あと少しで敵方が本曲輪に迫ろうとした時、井伊行直は立ち上がり下知をした。
「この城を捨てるぞ!ここから北より出で山裾を通れば大平に入れる。そこで陣形を建てなおし再起を図ろうぞ。」
黙ってはいたがコクリと兵たちは頷く。目はまだ死んでいないようだ。
その夜、井伊行直は宗良親王と兵達を連れ三嶽城を離れた。
高師冬が朝目覚めると、三嶽を覆っていた殺気が嘘のように晴れているを感じた。
「・・・・・・なにかおかしい。」
師冬が斥候を送ると、すでにそこには誰もいなかった。
「くう、幾度も我を馬鹿にしおって、、、奴らは大平に向かった!全軍本体と合流し大平を包囲せよ!」
こうして三嶽は落ちた。
激戦を物語るように無数の兵士の亡骸が転がり、そこだけ季節が止まったかの様に静けさだけが残る。
戦のあとはいつもこうだ。
ただ熱き意志はおさまらず、大平の地に移された。