2017年01月20日10:37
<歴史が動いてヒストリ庵~エンシューの衆ら~3> 第三章vol.3【二俣二間譚】≫
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※これはあまりにもフィクションです
※歴史認証はされておらず、あくまで個人の見解です。
頼朝が挙兵してから6年が過ぎようとしていた。
前の年、平家を壇ノ浦で滅ぼし源氏の新たな船出の時であったが
仲たがいによって、頼朝と義経の兄弟同志で抗争を広げていた頃。
安田三郎義定は庭先に埋めてあった松の木を眺めながら腕組みをしてう~んと唸っている。
エンシューの守護に就いて庇護している横地家当主、太郎長重がそれを見て話しかける。
「守護殿、いかがなされましたか。
昨年共闘した九郎判官(くろうはんかん:義経)殿の事が気にかかるのでございましょうか。
仲間同士争いあう事になろうとは、ゆめゆめ思いませんでしたな。」
「う~む、その事も気がかりではあるが、、、他の事でな。」
「はて?他の事でございますか、、何事でございましょう?」
「其方の近縁である勝間田がいたろう?範頼様の勧めで玄番助の役職に任命したのだが。。」
「はい、私の兄弟同然の勝間田に役職を与えてくださり、本人もかたじけなくと申しておりました。それが何か?」
「九郎判官殿がなぜ追われる身となったのか、鎌倉様(頼朝)の断りなく官位を承った事が発端、、、
さすれば今回の勝間田の件もお咎めを受けるやもしれぬ。どうしたものかと思っての。」
「なるほど、そういう事でごいましたか。」
太郎長重は少し考え込んで、贈り物をしてはどうかと提案した。
「うむ、それは良い案であるな。さすれば贈り物は何が良かろうか?」
「私共がよく知っている所に、良い鹿がとれる場所がございます。そこに猟に行くというのはいかがでしょう。」
「なるほど、それは名案である。して場所は?」
「二俣という地にございます。ここから北にほどなく行った所にあり、
馴染みの友もおりますゆえ心置きなく猟が出来ると存じます。」
安田三郎義定は、こうと決まったら即決する性格である。
公務を早々に切り上げ、その日のうちに二俣行きを決めてしまった。
出発したのは暮れ六つ(午後六時)、数人の家臣と主に足早に馬でかけていった。
着いた頃には辺りは真っ暗の状態であった。
安田三郎義定とその一行は横地と旧知の仲である二俣氏の居で一晩過ごし、明朝狩りをする事を決めて眠りについた。
朝、目が覚め外に出てみると昨日の暗闇ではわからなかった山々が連なり優美な情景がそこに現れた。
風が流れ水が止めどなく流れるその地を安田三郎義定とその一行はとても気に入った。
二俣氏が案内人となり狩場まで着くと、何処からともなく七頭の鹿が安田三郎義定の側をかすめて前方へ逃げていく。
すぐさま家臣と連携し、その七頭を一網打尽にしたのである。
それもかなり上質な鹿の皮であり、安田三郎義定は大いに喜んだ。
その夜はその鹿の肉を肴に村の住人総出で宴が催され、長い時間皆で語り合ったのであった。
安田三郎義定とその一行、二俣の人の間で新しい絆が生まれ彼らは岐路についた。
「いかがでございました?」
横地太郎長重がにこりとしながら、帰ってきた義定を迎え出た。
「うむ、大量であった。良き土産話も出来た。これで鎌倉様のご機嫌伺いにいこうとするかの。」
「それは、なによりでございました。してご出立はいつ頃になさいましょうか。」
「本日!」
安田三郎義定は、こうと決まったら即決する性格である。
早々に身支度を整え、鎌倉を目指すこととした。

※歴史認証はされておらず、あくまで個人の見解です。
頼朝が挙兵してから6年が過ぎようとしていた。
前の年、平家を壇ノ浦で滅ぼし源氏の新たな船出の時であったが
仲たがいによって、頼朝と義経の兄弟同志で抗争を広げていた頃。
安田三郎義定は庭先に埋めてあった松の木を眺めながら腕組みをしてう~んと唸っている。
エンシューの守護に就いて庇護している横地家当主、太郎長重がそれを見て話しかける。
「守護殿、いかがなされましたか。
昨年共闘した九郎判官(くろうはんかん:義経)殿の事が気にかかるのでございましょうか。
仲間同士争いあう事になろうとは、ゆめゆめ思いませんでしたな。」
「う~む、その事も気がかりではあるが、、、他の事でな。」
「はて?他の事でございますか、、何事でございましょう?」
「其方の近縁である勝間田がいたろう?範頼様の勧めで玄番助の役職に任命したのだが。。」
「はい、私の兄弟同然の勝間田に役職を与えてくださり、本人もかたじけなくと申しておりました。それが何か?」
「九郎判官殿がなぜ追われる身となったのか、鎌倉様(頼朝)の断りなく官位を承った事が発端、、、
さすれば今回の勝間田の件もお咎めを受けるやもしれぬ。どうしたものかと思っての。」
「なるほど、そういう事でごいましたか。」
太郎長重は少し考え込んで、贈り物をしてはどうかと提案した。
「うむ、それは良い案であるな。さすれば贈り物は何が良かろうか?」
「私共がよく知っている所に、良い鹿がとれる場所がございます。そこに猟に行くというのはいかがでしょう。」
「なるほど、それは名案である。して場所は?」
「二俣という地にございます。ここから北にほどなく行った所にあり、
馴染みの友もおりますゆえ心置きなく猟が出来ると存じます。」
安田三郎義定は、こうと決まったら即決する性格である。
公務を早々に切り上げ、その日のうちに二俣行きを決めてしまった。
出発したのは暮れ六つ(午後六時)、数人の家臣と主に足早に馬でかけていった。
着いた頃には辺りは真っ暗の状態であった。
安田三郎義定とその一行は横地と旧知の仲である二俣氏の居で一晩過ごし、明朝狩りをする事を決めて眠りについた。
朝、目が覚め外に出てみると昨日の暗闇ではわからなかった山々が連なり優美な情景がそこに現れた。
風が流れ水が止めどなく流れるその地を安田三郎義定とその一行はとても気に入った。
二俣氏が案内人となり狩場まで着くと、何処からともなく七頭の鹿が安田三郎義定の側をかすめて前方へ逃げていく。
すぐさま家臣と連携し、その七頭を一網打尽にしたのである。
それもかなり上質な鹿の皮であり、安田三郎義定は大いに喜んだ。
その夜はその鹿の肉を肴に村の住人総出で宴が催され、長い時間皆で語り合ったのであった。
安田三郎義定とその一行、二俣の人の間で新しい絆が生まれ彼らは岐路についた。
「いかがでございました?」
横地太郎長重がにこりとしながら、帰ってきた義定を迎え出た。
「うむ、大量であった。良き土産話も出来た。これで鎌倉様のご機嫌伺いにいこうとするかの。」
「それは、なによりでございました。してご出立はいつ頃になさいましょうか。」
「本日!」
安田三郎義定は、こうと決まったら即決する性格である。
早々に身支度を整え、鎌倉を目指すこととした。
