2016年11月02日09:19
<歴史が動いてヒストリ庵~エンシューの衆ら~3> 第二章vol.7【二岐二俣また明日】≫
カテゴリー │歴史が動いてヒストリ庵
※これはあまりにもフィクションです
※歴史認証はされておらず、あくまで個人の見解です。
大事の中心はいつも都である。
長岡京、平安京、現在の京都と呼ばれる地域、
広く言ってあの一帯がそれである。
悠久の時、みな自分の地位を確固たるものとする為
共謀し、あるいは裏切りを繰り返し、今この時を迎えている。
そんな中台頭してくるのが、
源氏・平氏・藤原氏・橘氏である。
その者達は、この日本の君主となる天皇の親族や側近が
別名として建てた家柄で、その中でも抜きんでたのが藤原氏であろう。
400年続く平安時代の大半はこの藤原氏が政(まつりごと)の主役を席捲していた。
そして例にもれず、藤原氏内部においてもそういった骨肉の争いが起き
敗れていく家柄は歴史舞台から引くか、落ち延びてその地で暮らすかである。
相良の者の出は、そんな都の主権争いに敗れていった藤原南家であり、
さらに言えば、源氏にとって恨み節の一つぐらいは叩きたい家柄であるという事である。
そういったドロドロとしたものが都に留まらず全国に蔓延しつつあり
このエンシューとて例外ではなかったのである。
そのような屈辱の歴史と苛立たしさを抱き相良の者は帰路についた。
相良の家には五郎太夫が心中穏やかなれず二人の帰りを待っていた。
家に帰るなり相良の者は、五郎太夫に「知らぬ!後の事は好きにせぇ!」
と言い残し早々と自分の寝室に入り込んでしまった。
五郎太夫は一部始終を娘に聞くと。
う~んと一息考え込んだ。
(相良様の事は一時置いておくとして、なるべくしてなった状況に相違ない。
波風という面では、二俣に遺恨は残るまい。されど・・・)
彼はひとまずホッとしたが、娘の事を思えば生まれゆく子供をみすみす捨てるなどと
いう事が出来ようかと苦悩をも抱えていた。
すると考え込んでいた五郎太夫に娘が決意をする。
「父上、わたくしめはこの様になることを察しておりました。悔みはございますが
覚悟はできておりまする。」
その言葉を聞いていたのかどうか、目を閉じずっと動かなかった五郎太夫が
そっと天に目を向け語りだす。
「・・・・里の二俣に1人のご老人がいる。それは私の縁戚であるがその方は昔、尾張にて
あの菅原氏に仕えていたという。よもやあの方ならばお知恵があるかもしれぬ。」
「わたくしどもの縁戚ですか?存じ上げませぬがどなたでございましょう?」
「その方は、二俣弾正と申す。娘よワシは弾正殿に掛け合ってみようと思う。ダメもとじゃて。」
娘は申し訳なく思った。
父のそのおもんばかる気持ちだけで十分嬉しかった。
ーその頃二俣の地ー
日の当たる大きな石に腰かけて、一人の老人が農作業での汗を拭いている。
「おう、弾正のおじいさん、今日も精が出るねぇ。」
「うむうむ、まぁワシのやる仕事はこれしかないからのぉホホ。」
通りがかりの農民と陽気に語らうこの老人、この男が二俣弾正と呼ばれる人物である。

※歴史認証はされておらず、あくまで個人の見解です。
大事の中心はいつも都である。
長岡京、平安京、現在の京都と呼ばれる地域、
広く言ってあの一帯がそれである。
悠久の時、みな自分の地位を確固たるものとする為
共謀し、あるいは裏切りを繰り返し、今この時を迎えている。
そんな中台頭してくるのが、
源氏・平氏・藤原氏・橘氏である。
その者達は、この日本の君主となる天皇の親族や側近が
別名として建てた家柄で、その中でも抜きんでたのが藤原氏であろう。
400年続く平安時代の大半はこの藤原氏が政(まつりごと)の主役を席捲していた。
そして例にもれず、藤原氏内部においてもそういった骨肉の争いが起き
敗れていく家柄は歴史舞台から引くか、落ち延びてその地で暮らすかである。
相良の者の出は、そんな都の主権争いに敗れていった藤原南家であり、
さらに言えば、源氏にとって恨み節の一つぐらいは叩きたい家柄であるという事である。
そういったドロドロとしたものが都に留まらず全国に蔓延しつつあり
このエンシューとて例外ではなかったのである。
そのような屈辱の歴史と苛立たしさを抱き相良の者は帰路についた。
相良の家には五郎太夫が心中穏やかなれず二人の帰りを待っていた。
家に帰るなり相良の者は、五郎太夫に「知らぬ!後の事は好きにせぇ!」
と言い残し早々と自分の寝室に入り込んでしまった。
五郎太夫は一部始終を娘に聞くと。
う~んと一息考え込んだ。
(相良様の事は一時置いておくとして、なるべくしてなった状況に相違ない。
波風という面では、二俣に遺恨は残るまい。されど・・・)
彼はひとまずホッとしたが、娘の事を思えば生まれゆく子供をみすみす捨てるなどと
いう事が出来ようかと苦悩をも抱えていた。
すると考え込んでいた五郎太夫に娘が決意をする。
「父上、わたくしめはこの様になることを察しておりました。悔みはございますが
覚悟はできておりまする。」
その言葉を聞いていたのかどうか、目を閉じずっと動かなかった五郎太夫が
そっと天に目を向け語りだす。
「・・・・里の二俣に1人のご老人がいる。それは私の縁戚であるがその方は昔、尾張にて
あの菅原氏に仕えていたという。よもやあの方ならばお知恵があるかもしれぬ。」
「わたくしどもの縁戚ですか?存じ上げませぬがどなたでございましょう?」
「その方は、二俣弾正と申す。娘よワシは弾正殿に掛け合ってみようと思う。ダメもとじゃて。」
娘は申し訳なく思った。
父のそのおもんばかる気持ちだけで十分嬉しかった。
ーその頃二俣の地ー
日の当たる大きな石に腰かけて、一人の老人が農作業での汗を拭いている。
「おう、弾正のおじいさん、今日も精が出るねぇ。」
「うむうむ、まぁワシのやる仕事はこれしかないからのぉホホ。」
通りがかりの農民と陽気に語らうこの老人、この男が二俣弾正と呼ばれる人物である。
