<歴史が動いてヒストリ庵~エンシューの衆ら~3> 第六章【エンシュー今川焼】vol.2

ケヴィン

2018年01月19日 17:05

応仁の乱。
あの王様ゲームのルールの根幹を無視したような戦国時代へ誘う最大の原因と言われた
応仁の乱。
いや、それ以前からその兆候が数多見られてそれが遂に爆発したように見える。
応仁の乱。
あの南北朝時代を彷彿とする時の流れではあるが、質が違う。
南北朝時代は、武家が担ぎ出し皇位継承を巡り天皇家が二分して起きた争い。
今回は、武家の最高位である将軍足利家の跡目問題から勃発した争い。
発端は8代将軍足利義政に嫡男がいなかったことから始まる。
先書にも述べた通り武家社会は既得権益争奪戦の形相を呈している。
賄賂や横領、駆け引きが横暴し自分の利益になる事であれば親兄弟すら蹴落とす時代。
足利将軍家はこれを正そうと守護に対する締め付けやあらゆる策を練ってきたが
将軍が家臣に殺される事態まで起きてしまう。
その様な状況で足利宗家には諦めに似た雰囲気が流れ、将軍は傀儡になりつつあった。
特に足利義政は政(まつりごと)を側近や正室の日野富子に委ねる事が多くなっていた。 
子供のいない義政は家督を弟に譲ろうと考えていたが、その矢先、正室の日野富子に嫡男が生まれる。
嫡男と養子、後の豊臣家でも同じような事が起こるが家督争いが起きぬわけがない。
案の定、周りの者は今ある利権及び更なる飛躍を求めて指示する上様を将軍へと暗躍し始める。
その暗雲は京都だけに留まるかに見えたが、重臣達の家督争いの火種とも連呼して各地に飛び火していった。
時の流れとは同じもので、何か有事が起きた後は変革が始まる。
それが常になると、その制度を利用して富を貪る輩が存在し時代が腐敗していく。
そして、その絞めつけに堪えられなくなった者や状況の打破を求める者が現れ時代が揺れ動く。
この応仁の乱というものは、そんな揺れ動く時代の前哨戦だったのかもしれない。
とにかく政権内で派閥が二分した。
勝った方が次に来るであろう政権の旨味を味わう事になるのだ。
こうなると、守護職である武家も黙ってはいない。負ければ守護職解任もあり得るからだ。
ついでに言うならば、その守護職の武家にとりいっていた国人や農民たちも気がきではない。
どの階級のものも、自分の立ち位置でどちらの派閥に与するかを決めなくてはならない。
とはいっても、自分達の明日の未来を占う選択。そうやすやすと決まるものではなかった。
地方でも、大小ありとも意見が割れ対立が起きてゆく。
しかしながら、今回は将軍が誰なのかを決する争いなので最終的に決定を下すのは天皇である。
おのずと戦いの中心は京都になる。
色々な想いをのせて、守護や国人、農民までもが京にドドッと押し寄せた。
もちろんスルガの守護の今川も京に馳せ参じた。
エンシューの守護である斯波においても、宗家が政治の中枢を握っているので京で構えている。
斯波家は東軍、今川家は西軍。本当にこの2家の間は永久に仲が悪い。
余談であるが、この時代に三河の岩津から歴史の表舞台に駆け上がろうとする家があった。
今までひっそりとこの時を待ちわびたかの様であり、その家は言わずもがな、松平家である。

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