<歴史が動いてヒストリ庵~エンシューの衆ら~3> 第五章vol.1【エンシュート!スルガ】

ケヴィン

2017年07月07日 16:20

皇族を二分しその影響が全国へと広がりを見せた南北朝の時代も
50年の歳月を経て明徳の和約という南朝合一がなされ、再び皇族は一つの道として歩みを始めた。
この50年の歳月を簡素な言葉で括る事はおこがましいが、あえて言うならば皆戦いに疲弊してしまったのである。
しかし戦いは、足利家親族内での利権争いにとって代わり局地的に争いは続いていく。
離合集散を繰り返し、大きいものはさらに大きく、小さきものは消滅もしくは吸収された。あの井伊と同じように。
地方では守護の力・支配力が増大する。
その地の所有権を勝手に恩賞として分け与えるなどの横暴が多発し”荘園”という制度は終焉を迎えた。
これにより守護がその地の田畑を監督する監督官(家来)置くか、恩賞として渡した武士ににらみを利かし
民はその要望に応えるという図式が成り立っていく。
そしてこの守護達が後に守護大名と呼ばれるようになっていくのである。
この戦いに明け暮れた時代において、もう一つ加速度的に発達した物がある。「武具」である。
「我こそはエンシューテンリュウの何某である!」「おおぉ、我こそは。。。。」
名乗りを行い優美な大鎧を身にまとい弓と大太刀や薙刀で応戦。
そんな時代は影を潜め、この頃になるとゲリラ戦が主流になっていった。
戦い方の変貌により武具の形態も変わっていく。
装飾主体の鎧から、俊敏に動く事が出来る機能性重視の鎧に代わり。
馬上でふるっていた大太刀は、使いやすい様に短くなっていった。
そして、この時代に殺傷能力の高い”槍”が登場する。
これまでの長い柄の武器と言えば薙刀や金棒、鈎爪の類であったが、槍の登場により飛躍的生存率が高くなる一方
死亡する確率も格段に上がった。つまり腕の差という事になる。
これらの武具は比較的安価で購入できるものもあり、自分達の土地を守るためにも農民たちはこぞって武装を始めた。
これが後に”足軽”という事になっていくのであるが
とにかくこの国の下部にまで武装が波及していった背景には、略奪や横暴、惨殺が多発した事に他ならない。
中央政府はそこまで手が回らなかったのか回さなかったのか、守護大名に主権を与えて各々の判断での行動・支配が進んで行った。
その無秩序たる秩序によって、いつ爆発してもおかしくはない時が流れてゆく。
そんな時代のエンシューはと言うと、
井伊を助けた今川範国は当家の悲願である遠江守護に返り咲いた。
井伊以下国人を引き連れて、遠征だけでなく国内の整備や防御を着々と続けた。
エンシューに今川の分家が移り住み、本家はスルガ、これでエンシューの統治は盤石である。
と思われたそんな中でのお話。



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