※これはあまりにもフィクションです
※歴史認証はされておらず、あくまで個人の見解です
源義家、八幡太郎義家と称するその人物は、あの源頼朝、ひいては足利尊氏の先祖である。
この時はまだ父・頼義についての従軍ではあるが、この後数多の戦を潜り抜け、
源氏の基盤を盤石にしたと言っても過言ではない猛者なのだ。
その猛者が、名も知らぬ土地の1人の娘に恋をしたのである。
舞いを終えた娘に義家は話しかける。
「その娘、こちらに。・・・・しばしの間儂の世話をせい。」
娘子の舞いのおかげなのかどうなのか、太田川の氾濫はヤマを越えたようだ。
されどこの時代復興の重機も強固で壊れぬ橋もなし、
通ることが出来るのは、半月いや1か月後か。
とにかくあと数日はこの地を動く事が出来ない。
娘子はその間、義家の世話を献身的にこなした。
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川の氾濫から何日が過ぎただろうか、ようやく水は引き旅立ちの時はきた。
そんな折、義家の世話をしていた娘子が父五郎太夫の所にやって来た。
神妙な面持ちである。
「いかがいたした?」
娘子は父の問いに俯くだけで暫くの後、一言発す。
「ややこがおりまする。」
五郎太夫は初め何のことだか皆目見当もつかずにいたが
ある一点を思い起こした瞬間、たらりと汗を流した。
「ややこ、、、、誰の子じゃ?、、、、、もしや。。。。」
娘子は父の問いにコクリと一度だけ返事をした。
五郎太夫はこれは大変な事が起きたと思った。
娘子はどこの馬の骨ともわからぬ半農半武の子、かたや相手は名門源家の御曹司。
さらに義家には未だ子はおらず、もし男子であれば嫡男(長兄)という事になる。
この時代、いやほんの100年前までは血筋・家柄は最優先たる事柄であった。
バランスのとれたご縁による幅広い交友獲得とお家の相続が狙いである。
訳のわからない続柄では都では見向きもしてもらえない。
そういう世界だ。
「仕方なし。こうなっては相良氏の耳にも入れておかねばなるまい。
お前はここで待っておれ。」
五郎太夫はそそくさと相良の住まう家へと急いだ。