<歴史が動いてヒストリ庵~エンシューの衆ら~3> 第二章vol.5【二岐二俣また明日】

ケヴィン

2016年10月19日 09:03

※これはあまりにもフィクションです
※歴史認証はされておらず、あくまで個人の見解です
今の時代、このお話が今の時代であれば
子供ができるという事はとても喜ばしい事。
しかしいかんせん今は昔。
五郎太夫の娘に宿った命はとてもマズイ状況である。
”百発必中”波風が立ち何かしらの火種になるに違いない、
五郎太夫はそう確信していた。
まずは相良氏の耳に入れておかなくてはと暗い夜道を足早に向かう。
時は亥の刻(いのこく)22時ごろ。
トントントントン
相良の者は酒を飲み眠りにつこうとしていた。
「このような夜更けに何者じゃ?」
「夜分すみませぬ五郎太夫にございます。相良様に急ぎお耳に入れたき事が。」
「五郎太夫か?急とは何事ぞ?」
彼は娘に起きたことを耳元で囁き伝えた。
それを聞いた相良の者は大いに喜んでいる。
五郎太夫は自分の考える反応ではなかったので少しいぶかしんだ。
「っははは。よいではないか、めでたいことではないか。」
「されど身分が違いまする。これは悪しき波風が立ちまする。」
「ほぉ、なるほどのぉ。それは一理あるのぉ。
うむ、良い案がある。五郎太夫、そちの娘子をわしの子とさせよ。」
「はっ??今なんと?」
「我が家は、工藤家、さかのぼれば藤原南朝氏族の末裔である。
申し分なかろうて。」
先ほど感じたいぶかしさ、その片鱗を見たような気がした。
相良の者は初めからこれを模索し、自身の出世の足掛かりにしようと
してはいまいか、そのようないらぬ疑惑が五郎太夫の中に生まれた。
されどこの方には逆らえず、話は何処こへと進んでいってしまった。
娘がわしの家に来てから、いや、義家様がこの見附に来たその時から
もうすでに波風は立っていたのである。
ー翌朝ー
五郎太夫の娘と相良の者は、義家に謁見するため宿舎にいた。
「ならぬ!ならぬ!生まれる時、その子は捨てよ!」
波乱である。
波風が立った波乱の海はまだ収まるには時期尚早であった。



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